人生の1/3を占めるとも言われる睡眠の時間。
その時間を快適に過ごせるか否かを左右する寝具はとても重要です。特にマットレスは全体重を支えるため、いつも負荷がかかった状態に。
マットレスの正しい使い方や寿命をしっかりと知ることでより良い睡眠を得ることができるようになります。マットレスの種類は豊富で、寿命も種類や使用環境によって異なるので各々の特徴と合わせてご紹介します。
マットレスの種類と特徴
マットレスは大きく分類すると、次にご紹介する4つの種類に分かれます。
スプリングタイプ
スプリングタイプは、中にバネ(コイル)が使われているマットレスです。中でも主流なのはボンネルコイルマットレスとポケットコイルマットレス、そして高密度スプリングマットレスの3種類です。
ボンネルコイルマットレス
ボンネルコイルマットレスはコイル同士を連結させ、体を『面』で支えるマットレスです。
体が沈みすぎず、寝心地は比較的硬めで、畳の上に布団を敷いて寝ているような印象です。寝返りをよくする人にとっては、寝返りの際に体への負荷が少ないため、好まれるマットレスです。
マットレス内の通気性は高いためにカビは発生しづらく、かつ耐久性は高いため、寝汗をかきやすい人や体重が重い人にとっては向いていますが、経年劣化するときしむ音が聞こえやすくなります。
また、二人以上で寝る場合、隣に寝ている人の振動が伝わり、眠りづらいという声もあります。
ポケットコイルマットレス
布で1つ1つ包まれたコイルが全面に敷かれたマットレスです。
体重を『点』で支えるため、仰向けに寝た際に硬めのマットレスでは浮きやすい腰回りもしっかりとフィットするマットレスです。
柔らかな寝心地で、ボンネルコイルマットレスのように他のバネと繋がっていないため、大きな横揺れなどはありません。
そのため二人で寝る場合には適しているマットレスです。
コイルの数はボンネルコイルマットレスに比べ多いため、やや金額的に高くなりやすい傾向ですが、睡眠の質にこだわる人にとっては睡眠時の体へ与える負荷が少ないため、好まれています。
ウレタンタイプ
ウレタンマットレスは、ウレタンフォームが用いられた弾力性・反発性が高いマットレスです。
加重に対し跳ね返す力の強さの違いから、反発力の強いものを高反発ウレタン、反対に跳ね返すが弱いものを低反発ウレタンと分けられます。
高反発ウレタンマットレス
高反発マットレスは加重に対して跳ね返す力の強いマットレスです。
低反発マットレスのウィークポイントを補う目的で開発された素材で、跳ね返す力は高いものの、素材はスポンジのため柔らかく、体圧分散性も高く適度な沈み込みのため寝返りしやすいのが特徴です。
体を支えながら沈み込みすぎず、理想の寝姿勢を保持することから腰痛に悩む方によく選ばれます。ですが、体重が軽い方は加重以上にマットレスの反発力が強くなるため、マットレスが沈み込まず、非常に硬く感じられます。
低反発ウレタンマットレス
高反発マットレスと同様にウレタンを使用したマットレス。
しかしその性質は異なり、荷重に対する跳ね返り力は弱く、沈み込みやすいマットレスです。
もとはアメリカ航空宇宙局が衝撃を吸収する材質として開発した形状記憶ウレタンをマットレスに応用したものです。
寝心地は柔らかく、体の形に合わせて沈み込むため、包み込まれるようなフィット感を得られる反面、加重に対してマットレスが沈み込むため寝返りがしづらく、体重が重い人は体を痛めてしまう場合も。
ウレタンマットレスは性質上、気密性が高いために通気性が悪く、夏はやや寝苦しさを感じたり、カビや湿気が気になりやすいという側面も持ち合わせています。
高反発ファイバーマットレス
ファイバーマットレスはポリエチレン製の繊維をまるでインスタント麺のように絡めて作られているマットレスです。
ポリエチレン自体が耐久性、防水性、弾性に優れた素材で、マットレスにする際、中に空洞を含んだように絡み合わせられるため、非常に通気性が高く、マットレスの中では数少ない、水洗いができることからダニやハウスダスト対策で選ばれるマットレスです。
また、反発力が強く、しっかりとした寝心地です。反面、通気性の高さから保温効果は低く、なかなか布団の中が温まりにくいという面も。
さらに熱に弱いため、電気毛布や布団乾燥機など、高熱になるものは使用が制限、もしくは使用できないものもあります。
また、小さなお子さんのいるご家庭では、もし布団の上で粗相をしてしまうと、床まで浸透してしまいます。
ラテックスタイプ
ヨーロッパなどを中心に人気のラテックスマットレスは2種類のウレタンマットレスの良さを兼ね備えたマットレスです。
柔らかな質感でありながら、ゴムの弾性でしっかりと体を支えてくれるため、体圧分散性が高いのが特徴です。ひと口にラテックスとくくっても、その種類は3つに分類されます。
- 合成ラテックス
- 天然ラテックス
- 天然ラテックス100%
3つの違いは素材を構成する原料の違いです。天然ゴムの割合で呼び方が変わり、
- 天然ゴム80%以下=合成ラテックス
- 天然80%以上=天然ラテックス
- 天然ゴム100%=天然ラテックス100%
と呼ばれます。合成ラテックスは耐久性が劣ったり、ゴム臭などが気になるという声も聞かれます。
また、重量が非常に重く、20kgや中にはダブルサイズで30kgをゆうに超えるものも。
通気性もさほど優れているものではないため、湿度の高い日本の夏ではやや寝苦しさを感じてしまうこともあるかもしれません。
知っておきたいマットレスの寿命
種類によってマットレスの寿命は異なります。一般的に紹介されているマットレスの寿命は次の通りです。
- ボンネルコイルマットレス:6-8年
- ポケットコイルマットレス:8-10年
- 高反発ウレタンマットレス:6-8年
- 低反発ウレタンマットレス:3-5年
- ファイバーマットレス:3-6年
- ラテックスマットレス:6-8年
しかし、マットレスの寿命は使い方や使用環境によって大きく異なります。
マットレスの寿命は使用感でしか感じづらいもの。そこで次ではマットレスの寿命が近づいているサインをいくつかご紹介いたします。
これってマットレスの寿命かも?なサイン
マットレスの寿命は使っている時や、見た目で気づきやすいもの。ここでは特にわかりやすいポイントをご紹介いたします。
生地に擦り切れや破れなど、傷みが目立つ
毎日使っていると、マットレスの表面が擦り切れて薄くなったり、破れてしまったりすることもあります。そのような時はマットレスの寿命が近づいています。
中の綿や詰め物、素材自体がへたっている
綿や詰め物のへたりは、毎日かかる加重によるもの。素材のへたりは本来の機能を十分に発揮できなくなります。
スプリングが劣化(きしみやへたり)
寝返りを打つとキシキシと軋みが聞こえたり、なんとなく寝姿勢に心地よさを感じなくなったりと、スプリングの劣化により、体を支える力が衰えてくると、快眠を阻害する原因にもなります。
スプリングが背中に当たる感覚
スプリング自体が硬く感じるようになったときはマットレスの寿命です。クッション性がなくなることで、背中や腰に違和感を感じたり、寝起きに疲れを感じたりすることも出てきます。
スプリングが飛び出している
これはすでに寿命を迎え、すぐにでもマットレスを交換した方が良いサインです。
そのほか、カビが生えたり、小さなお子さんやペットの粗相が幾度か続く場合もマットレスの内部に汚れが侵入し、菌が繁殖してしまうことも。汚れなどの場合はマットレスクリーニングなどで解消できることもありますので、検討してみても良いかもしれません。
マットレスの寿命を延ばすためにできること
大切なマットレスの寿命を延ばすためには、ちょっとしたケアをするだけでも大きく寿命が変わってきます。
ここでは特に重要な3つのポイントをご紹介します。
通気性を高める(立てかける・除湿シート)
マットレスの除湿はとても重要です。マットレスは種類によって通気性に優れているものもあれば、湿気を溜め込んでしまうものも。
湿気を溜め込んだマットレスはカビが繁殖したり、不快な寝心地になってしまいます。通気性を高めるためには、定期的にマットレスを立てかけ、風通しをよくすることが大切です。
また、除湿シートなどをマットレスの下に敷くことで、湿気がたまるのを防ぎます。
定期的に上下、表裏をひっくり返す
常に同じ位置に寝ていると、どうしてもその場所だけマットレスがへたる原因になってしまいます。
マットレスはものによって表裏両面が使用できるものがあり、そのようなものは時々表裏を変えたり、足側と頭側を入れた変えたりするだけで、負荷がかかる位置を分散させることができます。
敷きパッドやベッドパッドなどを使う
マットレスに敷きパッドやベッドパッドを使うことで、寝汗がマットレスに侵入するのを防ぐことができます。
マットレスは洗うことが難しいため、手軽に洗うことができる敷パッドなどを使用すれば、マットレスの生地や綿、ウレタンなどへのダメージを抑えることができ、劣化を抑制できます。
いかがでしたか?マットレスは快眠を助ける大切なパートナーです。
しっかりと選んで、大事に使うことでマットレスの寿命は延ばすことができます。ぜひ今お使いのマットレスでも、チェックしてみてください。